たゆる記

気が向いたとき書く

限界健康診断

1月23日土曜日。

Twitterを良くも悪くも世間を賑わせていた某映画に便乗してこんなツイートをしていた私であったが、この日街に出た目的はゲーセンの開店凸などではなかった。

 

 


地獄の健康診断である。


健康診断が地獄と感じる人は、血圧や体重等を気にしているか、不養生な生活が明るみになるといったことへの恐怖からであろう。しかし私の場合そうではない。


「採血」への恐怖である。


とにかく注射、いわば針を皮膚にぶち刺して液体を入れる・抜く行為がとにかく苦手で、想像しただけで身が震える人間なのである。


そして、社会人の健康診断には、学生の頃にはなかった「採血」があると聞いてビビり散らかしているのだ。

無論、これまで献血なども避けて生きてきたため、「血を抜かれる行為」はたぶん生まれて初めてである。


そもそも献血についても、血を吸い取られて貰えるものがドーナツやお菓子など、犠牲に対する対価が小さすぎないかと常日頃思っている。

ましてやカップ麺を貰うだなんて血を吸い取られた挙句さらに不健康になっている。正気の沙汰ではない。いくら爆乳アニメキャラに「注射が怖いんスか?」と煽られようが構わない、注射が怖くて何が悪い。


といったことを考えているようなクソみたいな人間なので、見知らぬ誰かのために自ら痛み血を差し出せる人には頭が上がらない。


話が逸れてしまったが、今回は健康診断のための採血である。献血のように任意ではないため、避けて通るわけにはいかない。

私は重い足を進め病院へと入った。


待ち時間はとにかく地獄であった。

心を落ち着かせるために心を落ち着かせる方法をGoogle検索していた。

その結果が以下である。

 

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運動を習慣にするって何だよ、

まさにこの瞬間心を落ち着かせたい人にとって遅すぎる情報でしかない。

この中で私ができることは「深呼吸」と「胸をゆっくり叩き、ポジティブな言葉を唱える」ぐらいであるが、このネガティブな文章を書いている時点で真逆のことを行なっている。

深呼吸は過呼吸になりとてもできる状況ではない。

早くきてくれ、いや、早く来るな、

落ち着かない中、ついに名前が呼ばれる。


まずは血圧検査だ。

しかしこの血圧検査、目の前に採血の針が置いてある状態で行われるのだ。

正気でいられるはずがない。

私の腕はガックガクに震えていた。


そのため血圧検査機が2回ほどエラーを吐き、

看護師からも「動かないでください」と言われる始末であったが、腕を動かさずにいるのは至難の技であった。

3回目にしてようやくokが出た。


「はい、次は採血します」


いよいよ審判の時がやってきた。


看護師が腕の関節の裏をアルコールシートで拭き始めた。

これまで予防接種以外注射の記憶がない私としては「え、刺すとこそこなの?」という意外感で頭が一杯であった。

ただ、どこであろうと針でぶっ刺されて血を抜かれることには変わりない。私の恐怖は依然として抑えられない状態であった。


ここはやるしかない、

死を覚悟した私の最終奥義が発動する


「すみません、注射が死ぬほど苦手なので片手でスマホ触りながらで大丈夫でしょうか」


私はこれまであらゆる予防接種をこの方法で乗り越えてきた。

大の大人が「注射が苦手」など恥でしかないが、背に腹は変えられない。

困惑される場合もあるが、大体の場合看護婦さんが「いいですよ」と言ってくれる

今回も許可を貰えたため、私は「素数を壊すゲーム」を開いた。


素数を壊すゲーム↓

  

注射に意識を向けないようにする、そのためには視線や注意を逸らすことが難しい思考性の高いゲームを行うことが最適であると、これまでの経験から学んでいるためだ。

そして「落ち着くために素数を数える」という理系に対する誤ったステレオタイプを身をもって実践するためでもある。


しかし、飛んでくる素数をいくら捌こうと腕の震えは収まらない。

見かねた看護師さんが気を遣って「ベッドで横になって採血しましょうか?」と声をかけてくださったため、お言葉に甘えてベッドで仰向けの姿勢で採血することとなった。


しかし、仰向けの状態で横画面のこのゲームを片手でやるのはかなり難しい、

そこで私は片手で持ちながら出来て同様に思考性の高いゲーム「限界しりとり」を行うことにした。

右腕は採血の針、左手は「限界しりとり」。

こんな限界状態で限界しりとりを遊んだ人間は私ぐらいなのではないだろうか。クイズノックさんもこんな遊ばれ方をされるとは想定していないだろう。


「チクっとしますよー」


そんなことはわかっている、

限界しりとりの世界に熱中しつつある俺を現実に呼び戻す声かけをしないでくれ、

そう内心で思いつつ、右腕に針が刺さる感覚を感じながら左手に持ったスマホに必死に文字を打ち込んでいた


「終わりました、起き上がってください」


無事終わった。

限界しりとりに熱中したお陰か、そこまで痛みは感じなかった。クイズノックありがとう。


しかし、私の苦痛はこれで終わったわけではない。

このあと待ち構える第二の地獄、それは「心電図」である。


もちろん心電図は注射のように刺されるわけでも抜いたり入れられたりするわけでもない。

そのため、私も恐怖心などは全くない。

しかし、この私、極度のくすぐったがりなのである。

人の肌が触れるだけでくすぐったがる人間である。

あの変な吸盤を胸のあたりに3〜4個付けられて耐えられるわけがない。


案の定、僕は終始くすぐったさで小刻みに震えていた。

「動くと撮れないんですよ…」

看護師さんが困った顔で動かないよう忠告をするが、これは生理現象なのである、

私もできるのなら静止していたい、


「10秒間止まるだけで大丈夫ですから」

10秒も耐えろと言うのか、気が狂う。

ぼくはただ「すみません…すみません…」と言うしかなかった


こんな健診を毎年やっている社会人は偉い。偉すぎる。これを毎年しなければいけないと思うともう気が狂う。


できれば一生やりたくない。

注射もできることなら打ちたくない、そう思っている。

 

 

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長文書いて心落ち着けたので

今からワクチン打ちに行ってきます。